Italia Trip

Mr.Kのイタリア旅日記 vol.2

2021.06.15
 

サルデーニャの旅 第2弾 カッリャリ・南サルデーニャ
2019年7月13日 

北の玄関口アルゲロを出発して約3時間、距離にして約270km。
普通に走ればそれくらいで着いてしまうが、急ぐ旅でもないので、
途中いくつか寄り道をして1日かかりで南の玄関口カッリャリに向かった。

まず1つ目の寄り道は、サルデーニャ最大級のチーズ工場。
サルデーニャでチーズと言えばもちろんペコリーノ、ペコリーノ・サルド、ペコリーノ・ロマーノ。イタリアで生産されるペコリーノ・ロマーノの8割程(もっと多いかも)がサルデーニャで生産されている。

本来ペコリーノ・ロマーノは、ローマ(本土)で生産されていたのだが、本土で羊乳の確保が難しくなったので、サルデーニャに工場を移したとの事。見た感じ、この工場の生産も圧倒的にペコリーノ・ロマーノの方が多かった。
輸出を中心に世界中で愛されているチーズであると実感。
サルデーニャ人にとって、どんな思いでローマの代表的なチーズを作っているのだろう?

寄り道2件目はミネラルウォーター・SMERALDINA。
サルデーニャはイタリアの中においても、おいしい水の産地としてとても有名である。ミネラル分が非常に強い。この会社(水で会社というのも少々変ではあるが)は確か2018年、アメリカ・シカゴで開催された“おいしい水”の大会で優勝している。それほどサルデーニャの水は透明感がありクリーンなのだ。


私自身、水を味わうほどの舌を持っているわけではないが、やはりそう言われるとおいしいと納得してしまう。基本的にはガスを持たないNaturale。イタリアではミネラルウォーターというのは、一切、人が手を加える事ができない。日本のミネラルウォーターのように殺菌や除菌する事は法律で禁止されているので、工場がある周囲の環境への心配りは大変なものだ。
採水地から周囲何キロ四方も私有地として一切の汚染から水を守っている。何人たりとも進入禁止。壮大な水物語である。

次の寄り道は、サルデーニャの代表的食品からすみ。ボッタルガ加工所。
イタリアにおいてのボッタルガはサルデーニャのボッタルガ・ムジーネ(ボラ)、シチリアのボッタルガ・ディ・トンノ(まぐろ)が有名。
しかし以前から不思議に思っていたのは、魚の産卵は基本的に年に一度行われる行動であるにも関わらず、年がら年中売っている。そのあたりが聞きたく、ボッタルガ加工所に行ってみた。

“Le Mareviglie”は、1990年からやっている水産加工業者で、ボッタルガをはじめ色々な水産加工をやっている。まぐろの水煮、オイル漬け、貝類の加工食品、まぐろの身の燻製、いかの燻製、などなど。魚好きの私にとっては、食のパラダイス状態。そして、あれも食べろ!!これも食べろ!!と試食連発。それら全てが素晴らしくおいしい。ついつい長居をしてしまった。

さて、本題のボッタルガ。サルデーニャのボッタルガと言え、やはり本場という場所があり、どこでもできるというものではない。本場はサルデーニャ島の中部西海岸、ORISTANOという大きな街の海沿いの町CABRAS。
湾になっていて毎年大量のボラが産卵に集まってくる。時期的には、6月末から8月初旬。偶然にも私が訪問したのが、7月13日、まさにピークのまっただ中。仕込みに忙しい時期であった。そんな中、色々と気になっていた事を質問攻め。
まず、どうして年中ボッタルガは売っているのか?答えは簡単、世界中のボラの卵を時期によって仕入れている、との事。スペイン、ギリシャ、アフリカ、ブラジル、その時、その時に手に入るボラの卵を冷凍状態で買っているのだ。サルデーニャに近づいてくるボラの軍団は、先ほども記したように6月末から8月初旬がピーク。私が訪問したこの日も新鮮でフレッシュなボラの卵と冷凍保存している卵の両方を仕込んでいた。明らかにフレッシュなボラの卵は違う。素人の私でもその差はわかる。
ただ問題はその価格。特にCABRASのボラの卵はとてつもなく高い。そして思っている量を仕入れる事が難しいらしい。

私が訪問した7月13日は、CABRAS産が20kg手に入ったとの事で、大事に大事に塩加工していた。見るからに立派。大きい。ハリが違う。これを見てしまうと冷凍の卵から加工しているボッタルガは見劣りしてしまう。とはいえ、これが一般的であり世界に流通しているボッタルガであり、試食をしてもとてもおいしい。ある意味、このあたりの事情が分かってしまうとボッタルガに対する思いが複雑になる。価格面でいうと、通常のボッタルガに比べて3〜4倍近くの価格になる。中国産やカナダ産のマツタケと日本国産マツタケの価格の違い程、高くなるのです。もし良ければ毎年10kg〜20kgぐらいは日本に送れるよ、と声を掛けていただきましたが、その高額なフレッシュボッタルガを輸入して日本で販売する事を考えた時、はたしてその価格で売れるのか?自問自答の末、「少し考えて返事します。」即答はできませんでした。ただ色々と勉強になりました。
お忙しいなか、『 お時間をいただき、ありがとうございました 』感謝です。

こんな感じの楽しい寄り道の末、本来の目的地であるPALAワイナリーへ到着したのは17:00近い夕方。夕方といっても日が暮れるのが22:00近いのだから、まだまだ陽は高く、西日がきびしい時間。あらためてここまで来ると、北サルデーニャとは完全に違う暑さがある。蒸し暑い感はない、心地良い暑さだ。

ということで、今回はここまで。次回はいよいよPALAへ。ぜひお楽しみに!