Italia Trip

Mr.Kのイタリア旅日記 vol.9

2021.10.12
 

シチリア第3話

クズマーノの本社へは以前に数回訪問していたが、お世辞にも美しいとは言いがたい古めかしいワイナリーであった。そのワイナリー兼オフィスが10年程前にとても美しく立派になった。

ワイナリーについたら、まずは全員でスタッフにご挨拶。Buon Giorno!!
そしてオフィスを抜けてワインセラーへ。

いろんなサイズのステンレスタンク、大小さまざまな木樽。「これは発酵用のステンレスタンクで、これは熟成用の樽、これは保存用のステンレスタンクでこれはバリックといって225ℓの小樽」などなど、一通りの説明を受けた後、中庭を通り抜けてティスティングルームへ。いくつかのワインの試飲や、簡単にワインの作り方、基本的な説明を受ける。やっとワイナリーツアーらしくなってきた。

クズマーノの本社はパレルモの街から1時間、パレルモ空港から20分ほど南にあるPARTINICOという街にある。元々はブドウ果汁の濃縮ジュースを作ったり、ブドウ果汁の加工がメインの会社で成功したファミリーだ。だからブドウ栽培や農業関係者とのつながりは深い。

現在のクズマーノは、アルベルト・クズマーノ、ディエゴ・クズマーノ兄弟が運営をしていて高品質なワインの生産を目指している。


昔からシチリアワインは、ヴェネト、プーリアと同じくイタリアにおけるワイン生産量は相当に大きい、しかし多くはバルクワイン(桶売り)が中心で高品質なワイン作りが行われるようになったのは1990年代初期の頃である。

イタリアにおいてもカリフォルニアワインが注目された時期があり、いわゆるニューワールドのワインに火が付いた頃である。
アルベルト、ディエゴ兄弟がそこに着目をした。ある意味シチリアはヨーロッパの最も近くにあるニューワールドではないか?元々ポテンシャルの高いブドウがあるのだから、高い醸造技術でワイン造りをすれば、イタリアやヨーロッパで人気が出るのでは、との思いから高品質なワイン造りをスタートさせた。

さてあらためて、フードライナーとクズマーノの出会いを思い出してみたいのだが、これまたはっきりと覚えていない。おそらく…たぶん、2001年春のVINITALYだと思う。
確かクズマーノがデビューして2年目の年であった。当時フードライナーは質の高いシチリアのワインを探していたところ、何気なく入ったシチリア館で彼らと出くわした。特別派手なブースでもなく、特に大きく出展していたわけでもないのだが、なぜかディエゴ・クズマーノと出会ったのだ。どうしてもワインを見て下さい。と彼の勢いに乗せられたままティスティングステーブルに。当時は今のようにたくさんの種類があるわけでもなく、基本的な地ブドウのワインを素直に作っているワインが揃っていただけだった。それまで私が思っていたシチリアワインといえば、濃い!! 強い!!! 事実そのようなワインが多かった。しかしクズマーノの第一印象は、フレッシュでフルーティ、軽やか!!であった。単純に美味しかった。

結局、シチリアワインの輸入において3、4社の候補があったのだが、クズマーノ に決めた。しかし早いもので、あれから20年も経ったのだなぁとあらためて思う。その20年のうちに彼らは、色々なエリアに畑を拡げて、シチリア全土(5カ所)の優良地区に畑を持った。

ある畑は石灰質で土がまっ白であったり、茶色であったり、鉄分で赤かったり、黒かったり。シチリアという所は、州の大きさでいうとイタリア最大、島の規模で言えばヨーロッパ、地中海最大。まちがいなく島ではない。日本で例えるなら、九州の約3分の2、四国の1.4倍。ありとあらゆる土壌、気候、天候がある。そしてそこにふさわしいブドウが育ち、食材があるのだ。

ブドウ畑で言えば、海抜10m〜1200mまでの高低差がある。
とてもシチリアワインと一括りには考えられないのだ。

クズマーノのファーストリリースの赤「NOA 2000」がいきなりトレビッキエーリを取ったことでもわかることだが、シチリアの奥深さ、秘められた自然の底力。
推して知るべしシチリアワイン、恐るべしクズマーノ。